79 現在、我が国の子どもを取り巻く環境は年々厳しくなっている。7人に1人の子どもが貧困と言われる『子どもの貧困問題』、2022年の日本人出生数が初めて80万人割れとなった『少子化問題』、県内の高校2年生の4.1%に世話する家族等がいる(2020年埼玉県ヤングケアラー実態調査)とする『ヤングケアラー問題』、年々児童虐待通告件数が増加している『児童虐待問題』、いじめの認知件数が過去最大となった『いじめ問題』等、枚挙にいとまがない。 岸田文雄首相は年初、「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べ、①児童手当などの経済的支援の強化 ②学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充 ③働き方改革の推進を掲げた。財源問題等の課題も多く今後国会での議論の行方を注視する必要があるが、こうした取組が着実に進展していくことを期待したい。 さて、これまで埼玉経済同友会では、埼玉県に対し子どもに関する提言として、①いじめ問題に関する4つの提言(2013年3月)、②豊かな少子高齢化社会の実現に向けた5つの提言(2016年8月)、③新型コロナウイルス感染症対策に係る5つの提言(2020年5月)等を行った。こうした提言からは、埼玉県の婚活事業「恋たま」の事業開始や、埼玉県内経済6団体との「未来を担う子どもたちへの支援に関する協定」締結等につながっている。埼玉県がこれまでの本会の提言を真摯に受け止め、各事業を積極的に展開いただいていることにまずは感謝申し上げたい。 今回の提言は、子どもを取り巻く環境が年々厳しくなっている状況を鑑み、この状況を何とかしなければならないという会員の熱い想いから生まれたものである。埼玉県におかれては、この提言を素に、未来を担う子どもたちが夢と希望を持ち、安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組んでいただくことを切にお願いする。 なお提言には、会員の属する企業等が子どもたちのために支援を行った活動報告書を添付している。埼玉県におかれてはこうした活動を認識いただくとともに、こうした活動の輪がさらに広がるよう、各種ネットワークの充実等、環境整備に注力いただきたい。 現在7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われているが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響や、世界規模でのエネルギー・食料危機等により原材料不足・価格高騰の波が押し寄せ、ここ数年、子どもたちの生活がこれまで以上に脅かされているのが実情である。子どもを取り巻く問題は上述の通り『少子化問題』『ヤングケアラー問題』『児童虐待問題』等、多岐にわたってはいるが、まずは子どもの貧困状態を一刻も早く解消させていくことが最も優先すべき課題である。 そこで、今回の提言では『子どもの貧困問題』を最重要課題として設定し、貧困を解消するべく、取り組む事項を整理した。 【はじめに】 【提言要旨】
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